選ぶということはそのときあきらめるということ
働くことと生きることについての悩み という記事を読んだ.
僕が学生だったころに社会に抱いていた不安感と似ている. 同じものではないのだろうけど,その不安感に対して僕が今どう考えているのか,どう対処したのかをメモしておく.
不安感の原因
不安感の原因は何か.それは「選択肢が多すぎる」ことだったのだと考えている.
選択の科学という本では「食品売り場へジャムを 24 種類並べた場合と6 種類並べた場合に売上がどう変わるか」という例を通して, 「選択肢は多ければ多いほど嬉しいのか」ということを調べていた.
結果は 6 種類並べた場合の方が 24 種類並べた場合よりも売上が 6 倍多かったそうだ.
選択した瞬間に,他の選択肢は選べなくなる. 言いかえると,あることを選択するということは,同時に,他の選択肢についてはあきらめているということになる.
選択肢が 6 個だと,あきらめるのは 5 個.選択肢が 24 個だと,あきらめるのは 23 個になる.あきらめる量が多い方が,より辛い.
また,選択した瞬間に,選べなくなるということは,選択しなければ,あきらめなくてよいことになる. 辛いことはできるだけしたくないため「選択しない」という振舞をしてしまう.
そうすると「今は選べないから,また今度買おう」と考えて,売れない.
という仕組みになっているようだ.
同様に,働きはじめる場合には様々な選択肢が目の前に広がっている. だいたいの場合,情報は良い面を前面に押し出している. つまり,どう働くか決めた瞬間に,他の良さそうな働きかたを失なってしまう.
この,失う感覚に慣れていなかったのだと思う. ちょっと距離を置いて考えてみると,まだそれを得てもいないのに,失うことだけ追体験するというのは奇妙で皮肉なおもしろい話だ.
どうやって解決したのか
ジャムを選べなかった人と同じような振舞をしてしまった. つまり,選択肢が多すぎてどう働くか選べず,ずうっと就職を先延ばしにした.
そうこうしているうちに年をとっていき,働き方の選択肢がどんどん減っていった. 最後まで残っていた,やれそうなことがプログラマだったので,プログラマになった.
つまり,情けないが僕は絞り込みをしていない. 外部要因によって選択肢が減ったので,なんとか決められた.
幸い,プログラマには向いていたようで,今もなんとか仕事をしている.
この解決法は,僕の場合たまたまなんとかなったからよかったものの,万人にすすめられるものではない.
どうやって解決すればよかっただろうか
うまくいかなかった人が,あとで振りかえっているだけなので,うまくいくとも限らないが, 個人の日記レベルであのときこう考えていれば,また違ったかもしれないということを書いておく.
「自分ができること,今後できそうなこと」を基準に考えると,選択肢が増えすぎて辛いことはわかった.
「自分がやりたいこと」を基準に考えることにする.
複数のやりたいことが出てくることもあると思う. そこで次にやりたいことに順番をつける.順番なので同じ位があってはいけない.
順番を眺めて,1番のものを満たせそうな仕事を考えてみる. 同様に2,3…の仕事を考えてみる.
- 1 を満たせそうな仕事 A,B,C
- 2 を満たせそうな仕事 C,D
- 3 を満たせそうな仕事 D,E
があるとする.
そうすると仕事 A,B,C,D,E が受かんでくる.今度は仕事別に考えてみる.
- A をすると 1 が満たせる
- B をすると 1 が満たせる
- C をすると 1,2 が満たせる
- D をすると 2,3 が満たせる
- E をすると 3 が満たせる
こうすると,1 番やりたいことができて,2 番目にやりたいこともできる C がいいのかもしれないなあというのが浮かんでくるかもしれない.
もしこの方法試してみてうまくいったり,いかなかったりしたら,今後悩む人のために文章を残しておいてもらえると嬉しい.