osc2017doに参加した
例年は出展や発表をする立場だったのだけど,今回は「より効果的な出展/発表をするにはどうしたらいいか」を考えているうちに申し込み期間が終わってしまったので,参加者となった.
総じて楽しかった.それでも発表するほうが意義がよりあるようには感じられるなあ.来年聞き手に嬉しそうな情報を発信できそうなら申し込みを忘れないようにしよう.
Debian Updates
最近のDebian,特にDebian9(Stretch)にまつわるトピックを知られるかなと思い参加した.よくわかりよかった.
- Debian9を新規インストールした場合はネットワークインタフェース名が既存のeth0やwlan0といったものではなくenp1s1やwlp3s0のようなものになる
- iproute2が推奨,net-toolsは(ifconfig / arp /netstat / route など)非推奨
- Stretch タコっぽいこいつだったのかー
これからも Debian を応援しつつ利用していきたい.
余談だが Debian がトイストーリーの名前を愛称に使っていくのより,トイストーリーの新作が出て名前が増えるほうが多いぜ!みたいなtweetを見た覚えがある. Debianを作ったイアン・マードックさん(2015年に亡くなったそうだ)は名前がこんなに沢山使える状況を見越していたのだろうか.
オープンソース開発に参加してみよう
友人が話すので参加した.
OSS Gate という活動に絡めて,OSSに参加してみましょうというお話だった. 二人がトークしながら進めるスタイルはもうちょっとこなれてくると rebuild.fm のようなポッドキャストの公開録画といった感じになるのだろうか. おもしろかった.
印象深かった話
- タイトルのみに自然言語(英語)を使い,残りの部分では使わなかった(残りは再現できるコマンドだった)貢献
- OSSを使って「なんだこれ、壊れてる」と思った時はOSSに参加するチャンス
- OSSの脆弱性を発見した時は,影響のヤバさにビビり(直るまで)誰にも話せず抱え込むことになるので,早くなおってくれーと祈るような気持ちであるそうだ
- OSSに参加することは,解かないでスルーしてもいい練習問題が次々とあらわれて,解けそうなやつを見つけたら取り組むチャンス.そして自分が解けそうにないやつを凄い人がどうやって解くのかも見られる
ITコミュニティの運営を考える
コミニュニティと言ってもいいものだと思う Sapporo.beam を運営しているので興味があり参加した.
コミュニティ運営には,やりかたは色々あれど,似た悩みやそれを解決するノウハウがあるのに共有されていない.というのはなるほどなあと思った.
コミュニティ運営のためのコミュニティのような,メタコミュニティで共有するといいんだろうか. メタコミュニティはあるけどそういうノウハウを共有する意図を主眼としては利用されていない気がする. (OR そういうノウハウを共有する意図があってたまっているのに,僕がそれに気づいていないためうまく引き出そうとできていない)
よくある課題
- 存在を知ってもらうには
- 仲間を増やすには
- 長く続けるには
- 内部の体制作り
- 外部との関係
- イベント/勉強会の運営
- 運営者のあり方
いろいろ参加するなかでわかってきたこと
- 目指すところはさまざま
- 共通の悩みはあるらしい
- 運営手法は多種多様
- ノウハウは共有されていない
みんなで相談
自分達のテーブルでは
- 地域による特性(北海道在住と島根在住の方がいらしていたので比較)の話
- 東京からUターンしてきて,テクノロジ主眼ではないコミュニティを探したけど,東京に比べたら極めて少なかった話
- 以前北海道でもコミュニティが増えたことがあったが,その一部は最近活動していないですねえという歴史の話
- コミュニティどうやって終わらせるのが次に繋がるかという話
が出ていた.
Mastodonから紐解く僕達の自由とこれから
pawooの話をするのかなと思ったら期待通りだった.断片的にしか聞いたことのない情報がきちんと整理されていて課題がどこにあるのかわかりやすかった.
最後に小岩さんと高橋会長と雑談した「マストドンのインスタンスを主義主張によって選べるというけどさあ,どうやってその主義主張にあるインスタンスを探せばいいの」という問いに対し, 「そこは自分達で何とかしましょう.雑然と誰でもインスタンスを立てられるのがマストドンのいかなる権力からも自由であるところなので」といった回答は「寝ながら学べる構造主義」という本の
「権力」とは、あらゆる水準の人間的活動を、分類し、命名し、標準化し、公共の文化財として知のカタログに登録しようとする、「ストック趨向性」のこと
という言葉を思い出しながら,なるほどなあと思った.
前提
- マストドンでは誰でもインスタンスが立てられる
- インスタンス越しでも読みたいコンテンツをフォローすることができる
- 誰かが別のインスタンスのコンテンツをフォローしていると,(たぶん技術的な制約で)そのコンテンツを自身のインスタンスにキャッシュとしてコピーする
状況
- 日本のpixiv社が立てたマストドンのインスタンスであるpawooにはpixivユーザーが絵をたくさん投稿していた
- そこには18歳未満に見えるような女の子がきわどい格好をしている 絵 も多く含まれていた
- そのコンテンツをフォローしていたユーザーのいる海外のインスタンスには18歳未満に見えるような女の子がきわどい格好をしている 絵 がキャッシュとして残ってしまった
問題
- 日本では,ゾーニングの対象ではあるので見せる対象を絞らなければいけないが,18歳未満に見えるような女の子がきわどい格好をしている 絵 を持っていても(単純所持していても)逮捕されることはない
- 日本以外では,18歳未満に見えるような女の子がきわどい格好をしている 絵 を持っていると,例え絵であっても逮捕される可能性がある国もある
日本の法律では大丈夫なのでコンテンツとして投稿したのに,データはそのまま海外に流れて,そこでは持つ/表示するだけで違法だったりする. そこでMastdonではそういった絵を投稿するときに投稿者がつける「不適切な投稿」というゾーニング情報を利用して,そういった投稿のキャッシングをやめた.
わかったこと
国毎に法律は異なるのに,データはそんなの関係なしに行き来できてしまう.
このことを突き詰めてみると……
Mastdonでこういったトラブルが発生してしまったときの対処は,発信は制限しない,システムを変えるという,発信の自由に気をつかったものだった.
もしこれが海外発祥の一企業のサービスだったとすると,そもそも発信の制限で対策されていた可能性もある.
さらにそのサービスに 強く 依存していると仮定すると,日本では許容されているけど,その企業のある地域では制限されているようなコンテンツや文化を発信できなくなり,廃れてしまうのではないか.
海外のサービスを便利に使うのはいいとしても,いざというときに日本の法律ではOKなことを日本で 自由に やれるだけの代替手段を準備しておくべきではないだろうか. そして日本の法律なら日本人がロビイングすれば変えることができる.マンガ図書館Zでは実際にそういった活動をしているようにも見える.