スタンフォードの心理学講義_人生がうまくいくシンプルなルール

#スタンフォードの自分を変える教室 を書いたケリー・マクゴニガルさんの著作。この本は月1回、2年の日本の雑誌連載をまとめたものだったようだ。トピックが多く、かつどれもおもしろそうで省略しにくかったため、ここに書き出すのがしんどかった。私か作者のどちらかが息切れしたのか前半に比べると後半のトピックは興味を引くものが少なかった。

私がこの本から受けとったメッセージ

  • 失敗は自分の能力の拡張(=成長)の機会である。失敗から目をそらしたりなかったことにしようとするのではなく、失敗を利用して次にうまくやろう
  • 自分がコントロールできるものをコントロールしよう。コントロールできないものは、がんばってもコントロールできない
  • 一般的にネガティブだと思われていうものにもポジティブな効能はある。避けるためにエネルギーを使うのではなく利用しよう

メモ

多くの人は能力や才能は固定のものであるという #固定型マインドセット で世の中を捉えがちである。しかしそうではなく自分の能力や才能は失敗によって拡張していけるという #成長型マインドセット こそが成功には不可欠であると説いている。失敗しそうな領域に挑戦して能力を拡張していかないと成功領域には辿りつけない。エリートの多くは、成功したいという野心と成功するための努力を周囲に感づかれたくないという2つの感情を両方持っている。これは #アヒル症候群 と呼ばれていて成長型マインドセットを持つのが困難になる。これを早期に取り除くことが重要である。

#時間管理 は「こうあるべき」というのを追い求めるとうまくいかないこともある。もしうまくいかないなと感じているなら、あるべきものはともかくとして、自分の性格や癖にあったやり方で仕事を進める #性格管理 という手法を用いるとうまくいくこともあるので試すとよい。

服装やお化粧といった装いは「周囲にも自分にも」双方に大きな影響を与えるという事実がある。例えば学生に講義するときしっかりした服装をしていると、講義の内容が受けいれられやすい。自身がしっかりしていると思う格好をしていれば自身でしっかりした振舞いをとりやすい。 #非言語表現 というものである。それでは単に周囲にあわせた服装をすればよいのかというと、そうでもない。自分が借り物を着ているような居心地の悪さを感じる状態ではいいパフォーマンスを発揮できない。作者が見出した落とし所は、基本的には自分が状況に適切であると思える周囲にあわせた装いをする一方で一つだけ自分の趣味趣向を発露するものを身に付けるということ。

物理的な身体の状態や環境に精神が影響されるという #身体化された認知 をうまく利用すると仕事を進めやすい。万能な環境や体勢というものはないので、すすめたい仕事の状態に応じて調整すること。例えば考えを広げたいなら広い空間、まとめたいなら狭い空間が適している。

人間は単体では弱く複数の人間で社会を形成することで生きのびてきた。そういった社会を構築するために人間には「 社会的な対立の兆候」を強く感じとる能力が備わっている。自分以外の人間がとった行動に自分なりに理由をつけられない場合には、 どんなに小さなものでも 相手の行動の源を悪意であると捉え怒りや不満足な感情を生み出してしまう。この不満足を検知しない方法はないけれど、問題を大きく捉えすぎて生活に影響がでるのを避ける方法はある。この段落で書いているようなことがどんな人間にもおきると知り、社会的な不満足を感じたとき自身にどれほど影響があるのかみつめなおすことが第一歩。そうすると「別にたいしたことなかったわ」という感想になるかもしれない。他には 1.サポートが必要な人が近くにいないか考えてみる 2.人に親切にする 3.他人の貢献を認め感謝する ということが社会で人間と関係して生きるのに役立つ。

雑談は、他者と積極的に交流することで得られるある種の信頼や尊敬 #ソーシャルキャピタル を高めるのに役立ち、それがあると人間関係が必要な仕事、つまりほとんどの仕事において有効に作用する。効果を高めるために、理論的な裏付けのあるテクニック 1.直接話す機会を設ける 2.スマホは手に持ったり目につくところに置かない 3.前にした話の続きを尋ねる 4.ネガティブな噂話を避ける 5.ポジティブな噂話をする

謝らない方が短期的には信頼されやすいという研究もある。しかし謝ることで得られるメリットというのも多数ある。 #感謝の伝え方#謝罪の伝え方 はそっくりであり、感謝は良くしてくれたことを機会にさらに信用を築くための行いで、謝罪は悪いこと(失敗)をしてしまったことを機会に信用を築くための行い。心からの謝罪を行い自身の成長にも繋げるためには 1.「謝るべきことをしてしまった」と認める 2.そのことで相手にどんな困ったことが起きたかを知る 3.失敗が教えてくれることに気付く 4.相手との関係にコミットすることを伝える。償いを申し出て、相手があなたにしてほしいことを聞き、将来同じ失敗を繰り返さないために自分がどう努力するか伝える。

他人がどう思うかについて気にするべきではないというのが現代の主流な考え方ではあるが、他人がどう思うかについて気にすることで得られるフィードバックというものがあり、それを利用できれば社会との付き合いがうまくなり摩擦を減らしたり効果を増じられる。 #他人がどう思うかをうまく利用する には 1.「全ての人を満足させることはできない」という事実を受けいれる 2.目標を追うべきかという意見ではなく、目標を追うのにどうすればいいかというアドバイスを受けいれる 3.重要な目標にはすべて「自分なりの成功の基準」を設ける

「言葉」と「行動」を一致( #言行一致 )させておくこと。例えば不正はよくないと説いている人が不正をしていたことが明らかになれば全く説得力がない。それに言っていることとやっていることの間にギャップがあればそれを埋めるために強いエネルギーが必要になるが、もし言行一致していればそのエネルギーを別のことに用いることができるのでよりうまくいきやすい。研究によるとニセモノを身につけた人は他人も信用しない傾向があった。自身がなりすましているものと実際のギャップの乖離から生じる自身への不信感をそのまま他人にも適用してしまう。また意識の高いときに理想に燃えて決めた言行は崩れないが、行動が崩れることがある。そのとき自身が言行不一致に気づければ、行動を立て直す良い機会になり、理想を達成するための効果的な振舞を取り戻すことができる。

自分が属しているチームへ貢献できるコミュニケーションというのがある。それは話をたくさんすることでも、話を控えることでもない。話すことが多くても、それがチームのためではなく自身がしっかりやっているアピールのためである場合はそれはチームに貢献していない。一方で話を控えて聞き役に徹するのは「私はこの場に何か新しい知見をもたらすためにここにいるわけではない」というメッセージになる。チームに貢献するためには自身の中にある何かを持ち寄りチームに与えないといけないし、チームの他のメンバーが持ち寄るのを邪魔してもいけない。 #非言語表現 というのもコミュニケーションの重要な一部なので、話している相手に注意を払うというのも貢献になる。

「やる気がある/ない」というのは幻想にすぎない。やる気がないのは「具体的な方法が見つけられない」だけ。全ての人が持っている基本的で前向きなモチベーション 1.関係性:他者やコミュニティー、大切にしている大きな目的・目標とのつながりを感じる 2.自主性:人生の質を左右するような行動や選択を自由に取れる 3.熟練:取り組んでいることに対する能力があり、貢献できていると自身で感じられ、個人的に満足できる上達や学びがある 現在の仕事がそうでないと感じられているとしてもそれを変えるチャンスはある。例えば自身が行っている仕事の時間の使い方を小さなところから変えて工夫のしどころを探る #ジョブクラフティング によって「やらされている仕事」を「やりがいのある仕事」へと自ら変えていけないか試す。

新年の目標設定をどうすると意味のある効果的なものにできるか。目標を立てるときに考えている「強い思い」をできるだけ活用するとよさそう。それでは強い思いをどうやったら活用できるか。 1.新しい年に「どう成長したいか」考える。成長の結果得られるものにフォーカスしすぎない 2.「なに」の前に「なぜ」に焦点をあてる。小さななぜをとっかかりに、なぜをくりかえすと、大きななぜに当たる。それこそが最初にはでてこなかったが意識下でやりたいと強く願っていること 3.具体的な行動目標を設定する。大きななぜは壮大な目標であるのでそれを直接実現しようとしても挫折する。壮大な目標を達成するための日々飽きずに行える小さな選択や行動へと分割する 4.サポートを受ける。多くの人は自分で決める目標を自分だけでできそうなものに限定してしまう。目標を自分だけではできないことにして、他の人に手伝ってもらいながら達成しても別にかまわない。

目標を現実にするモチベーションを育む。作者が意志力についてのワークショップや講座を始める前にいつも受講者に説いていること。「変わりたいと望むこと」と「変わる意思」は同じではない。目標を諦めようとしたときに、その目標を手放さないだけの「望み・欲求」が必要。外から与えられるもの、例えばお金がもらえる、賞賛が得られるなどよりも、楽しいとか気持ちよいといった、内から生まれてくるもののほうが「望み・欲求」が強い傾向がある。最初にこのモチベーションについて掘り下げて 1.生活の質を向上させるもの 2.心の底からなりたい人物像に合致するもの 3.やりがいのあるもの、楽しいと思えるもの のいずれかになっていれば変われる可能性は高い。

大事なことへの不安や失敗を経験したときに、湧き上がる苦い感情を「気にしなくていい」と無視しようとすると大事なことからも離れてしまう。苦い感情を無視するのではなく、大事なことが何だったかのかの方を思い出すことでその不安や失敗を成長のための糧へと変えることができる。

「直面する試練はハードワークや周囲からの助けなど、自分が持っているものをすべて使えば乗り越えられる」という信念のことを #自己効能感 という。これを持つことが、自信を持つということだと言える。自信がないのに自信があるようにふるまうのではなく、自信がない自分をうけいれて、自信がなくてもうまくやれるという気持で挑む。自信のなさを準備不足や覚悟ができていない兆候だと否定的にとらえず、ベストをつくす機会へ挑戦しているサインだと受けとること。自信がないのにその場に来たのは何かが大切だと考えたからで、その大切なものを思い出す時間を設けること。自信がないときには自分のことしか話せなくなり相手の言うことに注意が向けられなくなりがちなので、相手の言うことに感心をもって傾聴すること。

妬みの感情は自然なものである。多くの場合はそれを表に出すのは有害である。しかし妬みに気づくことは「自分が本当に欲しいもの」に気づくチャンスでもある。

陰口は基本的には避けるべきものであることは言うまでもないが、誰かを助けるために噂を話すということが極まれに存在することも事実。もし陰口や噂を誰かに話したくなったらそれが自分の感情を満たしたり自分の能力を誇示するためのものではないか検討してみよう。そうではなく誰かのためであると自己欺瞞抜きに思え、他の方法がなさそうならば、その場合は噂を話すことに踏みきろう。絶対に陰口を言わないという姿勢はそれはそれで不健康なものだ。

不安というのは物事を成功へ導くためのエネルギーである。それを良くないことのように捉え鎮めるためにエネルギーを費すのではなく、その不安を利用して行動をうまくいくように仕立て上げる。特に不安と興奮は似たものであるので不安を感じると捉えるのではなく興奮していると捉えていい感じにやっていく。

ストレスは一概に害とはいえない。変化にはストレスがつきもの。大きく成長しようというとき、真面目に取り組もうとするときは大きなストレスがかかる。またストレスを飲酒やテレビ鑑賞などで避けようとすると、そのことがかえって気分の落ち込みにつながる。ストレスを感じながらもケアするという姿勢が望ましい。例えば運動、家族・友人・ペットと遊ぶ、マッサージ、瞑想、ボランティア活動、クリエイティブな趣味に時間を費すなど。

共感型リーダーシップに必要な思いやりとは 1.他者の要求、要望、苦難に対する配慮 2.他者との相互依存の気持を持ち、相手を思いやり、強い関係を築くこと 3.他者の必要を満たし、苦しみを軽減させ、幸福のための支援をすること そしてリーダーは自分の健康や幸せを犠牲にして何かを成し遂げようとするべきではない。自分の健康や幸せを犠牲にしているリーダーはそれ自体がチームメンバーにも同じような犠牲を払うことを求めるメッセージになってしまう。

不正行為をしないためには、どんなときに不正行為に及んでしまうのかという理解がかかせない。不正行為に及びやすいとき 1.倫理的によいことをした後。いいことをしたのでちょっとくらい悪いことをしてもよいと自分を許してしまいがち。これを #モラルライセンス と呼ぶ。 2.疲れているとき。不正は午前より午後に多いという調査結果もある 3.出世したら共感力が下がる傾向にあるということを知らず、これまでと同じような感覚でいると同僚の振舞いに共感できずに非倫理的な振舞いをしがち 4.ミスに気づいたときに「発覚する前に修正できる」と思ったとき。ミスはまず公表し非難もされない雰囲気をあらかじめ作り出しておく。

職務でフィードバックするということそれ自体が権力を纏ってしまっており、単なるお知らせのつもりのものが、受け手にとってかなりの痛手になりうることに気をつける。だからフィードバックは慎重に行わなくてはならない。